古代から私たち人間の生活に密接に関係し、多岐にわたる用途で使われてきたハーブ。ハーブには身体に効く様々な効能があります。ガーデニングで育てたハーブを生活に取り入れてみませんか?
ハーブとは?
ハーブと言う言葉は誰でも知っていると思いますが、定義と言われるとよく分からないと言う方が多いのではないでしょうか。実はとても曖昧な部分があり、はっきりとしていないところも多いのです。
ハーブの特徴である香りがある植物がハーブだと答える方もいらっしゃると思います。しかし香りがあるからハーブと言うわけではなく、香りがないハーブもあります。逆に香りがあってもハーブとは呼べないものもあります。これはハーブだと言う方もいれば、これは野菜だと言う方もいます。つまり人によってハーブの捉え方も違うのです。
種類においてはそんな曖昧な部分もあるけれど、大まかに言えば「人間の役に立つ有用植物」と言うのがハーブとされています。例えばそれが薬の成分になったり、頭をスッキリさせる作用があったり、防虫効果があったり、そういったものをひっくるめてハーブと呼んでいるのです。料理に使われるのも香りが良いものが多いので香辛料としての役割もありますが、保存作用があったり身体に良いため利用されているのです。
ハーブの歴史は古く、人々は昔から薬草として使っていました。また、中世のヨーロッパでは魔除けとしての役割もあると信じられていたそうですよ。
ハーブの活用方法
もちろん庭を彩る植物としても活躍してくれますが、ハーブには他にもたくさんの使い道があるんですよ。
1.ハーブティー
まずハーブと聞いて最初に思いつくのがハーブティーではないでしょうか。私もそのイメージがとても強いです。庭で摘んだハーブで午後のティータイムなんて素敵じゃありませんか?優雅なひとときです。
2.料理
そして料理にも使うことが多いですね。ハーブのある料理はとてもおしゃれで、栄養価も高いので身体にも良いものが多いですよ。料理のアレンジ次第でいろいろなものに使えそう。デザートなどに使用することもあります。
3.入浴剤
ハーブの香りは入浴剤にもピッタリ。香りに癒されていつもよりリラックスできるバスタイムになります。お風呂嫌いな人にもおすすめ。毎日の入浴が少し楽しくなりますよ。ハーブをそのまま湯船に浮かべるだけで簡単にできます。
4.香り袋
ハーブを乾燥させて小さな袋に入れれば香り袋の出来上がり。香りが良いラベンダーなどでよく作られますね。その他にも庭で摘んだハーブを部屋に飾るだけで、部屋中良い香りに満たされてリラックスできますよ。
5.安眠グッズ
寝つきが悪い方、よく眠れない方にもハーブはぴったり。ドライハーブを枕に入れたり袋に入れて枕元に置いておけば、リラックスでき安眠を誘います。安眠効果の高いハーブを選ぶと良いでしょう。
ハーブの効能
ハーブには私たち人間の身体に良いとさせる成分を含んでいるものが多く、薬草としての役割も果たしてきました。
種類によって効能は違い、消化促進、頭痛・生理痛改善、リラックス効果、記憶力アップ、美容効果など、他にもたくさんの効能があります。また香りが良く、スカッとしたり癒しの効果もあります。自分に合ったハーブを探して育ててみてはいかが?
以降、庭で育てやすいハーブをご紹介します。
【1】 ラベンダー
古くから愛されてきたラベンダーはハーブの定番中の定番で、ハーブの女王とも呼ばれています。その香りの良さ故に食用としてだけではなく、香り袋(サシェ)、ポプリ、香水、アロマ、入浴剤としても使用されることが多いものです。また、ドライフラワーや観賞用の切花としても利用されています。
日本でも北海道などの寒い地域で栽培されるイメージがある通り寒さに強いハーブ。しかしその反面暑さに弱く高温多湿が苦手なので、風通しが良く西日が当たらないところで育てましょう。5月~6月頃に花が咲きます。
ラベンダーには鎮静作用があり、ストレスやイライラした感情、不眠症に効能があると言われています。また美容効果も高いため、化粧水などのスキンケアの商品にも使われることが多いハーブです。
【2】 セージ
5月~6月頃にサルビアに似た細長い花をつけるセージ。よもぎに似た香りがします。「セージのある家では病人はいない」と言われるほど、万能な効能があるとされているハーブです。料理の香り付けなどとしても使われますが、薬用で使われることも多いですよ。消化促進、便秘に効果があるそうです。
また、ホルモンバランスを整える効能もあるため、更年期障害、月経不順などにも効くと言われていますよ。
セージは多湿に弱く蒸れることを嫌います。乾燥を好むので、風通しが良い場所で水のやり過ぎには注意して育てましょう。
【3】 チェリーセージ
セージの仲間のチェリーセージ。チェリーセージと言う名前は所謂総称で、いくつかの種類をまとめてそう呼んでいます。日本で多いのは、赤と白のツートンがかわいらしい「ホット・リップス」と言う種類。名前の通り、チェリー(さくらんぼ)のような香りが強いハーブです。
チェリーセージは育てやすく、宿根草のため何年もの間楽しめます。開花時期も長く丈夫に育ちます。ナチュラルガーデンテイストの庭にもピッタリな植物ですよ。
チェリーセージはセージと同様、消化促進や殺菌作用などの効能があります。食用として利用することはあまりありません。
【4】 カモミール
名前の語源はギリシャ語の「大地のリンゴ」から来ています。もちろん、リンゴのようなフルーティーな香りがすることからそう呼ばれるようになりました。古くから女性の薬として使われてきた歴史があり、最も薬用植物として知られているハーブです。
カモミールの育て方としては高温多湿で蒸れるのを嫌うので、風通しの良い場所で乾燥気味に育ててあげましょう。また、肥料のやり過ぎも注意。カモミールに追肥はいりません。3月~6月頃まで開花しますよ。
様々な体の不調に効能があることから、万能薬とも言われています。特に女性特有の病気、更年期障害の不快感などを改善するとして知られています。その他にも、殺菌・消毒作用、リラックス効果、肌を整える作用があるそうですよ。紅茶に入れてカモミールティーとして飲むのはよく知られていますね。
【5】 パセリ
食卓でご存知のパセリ。料理に添えられていても食べずに残してしまいがちなパセリですが、栄養価が高いので捨ててしまうのはもったいない。世界では保存食としても利用されています。セリ科の仲間でオランダから伝えられました。
パセリは知っていてもパセリの花はあまり見たことがないかもしれません。実は5月~7月頃に、小さな白い花を無数に付けるんですよ。しかしパセリは2年草のため、種をまいてから2年で枯れてしまいます。乾燥に弱く乾くと枯れてしまう可能性があるので、水分を切らさないように注意して育てましょう。日光も大好きです。
利尿作用や鎮静作用の効能があるとされています。ビタミンやミネラルが含まれているハーブなので、ぜひ生活に取り入れてみては?
【6】ミント
紅茶やお酒、ガムやお菓子にいたるまで、最もポピュラーなハーブで多様に利用されてきたミント。食べ物だけではなく歯磨き粉やアロマにも使われています。スカッと清涼感のある香りや味が特徴。ミントは古くから薬草としても使われ、現在でも漢方で用いられていますよ。リフレッシュさせる作用や殺菌・消毒、解熱・発汗などの効能があるため、医療用途としても使われるのです。
育て方は、風通しが良く日当たりが良い場所を好みます。しかし極端に日が強すぎると枯れてしまう場合もあるので、暖かい日陰などがおすすめ。寒いのには強いけれど梅雨の時期などの多湿には弱いので、できるだけ風通しをよくしてあげましょう。
丈夫で育てやすいですが逆に繁殖力がとても高く、地下茎で増えすぎる場合もあります。最初に植える場所をよく考えた方が良さそうですね。
【7】ローズマリー
スーッと爽やかな香りを持つハーブで、料理にもよく使われるものです。記憶力を高めるハーブとして知られており、その香りが勉強中の学生の手助けにもなりますよ。そのため花言葉の一つに「記憶」があります。
開花時期は10~5月頃。青い花をいっぱいに付けますよ。乾燥に強く初心者にも育てやすいハーブの一つ。耐寒性はありますが寒すぎると冬を越せない場合もあるので、冬は暖かい場所で育てるのが向いています。
記憶力を高める作用の他に、女性は必見!若返りにも効くと言われています。ハンガリーのエリザベス王妃がローズマリーで若返った話は有名ですよ。その他にも、肌荒れをカバーする効果や肌の引き締め、精神安定、虫除けなどの効能があるとされています。
まとめ
身体に良く、いいこと尽くしのハーブを育てない理由はもはやありませんね。私の家ではまだ6種類ほどしか育てていないので、これからどんどん増やしていこうと思っています。紅茶よりコーヒー派なのであまり紅茶を飲むことはないのですが、これからは庭で採れたハーブで積極的に紅茶を煎れて、優雅に庭で飲んでみようかしら。
今回ご紹介したハーブはごく一部の種類で、他にもまだまだ良いものがたくさんあります。ぜひ自分に合った香りや効能のハーブを探してみてください。きっとガーデニングが今より少し楽しくなりますよ。