バラの歴史は古く現在でもたくさんの品種が誕生しているため、4万以上の種類があると言われています。初めてバラを育てようと思ってもどんなバラが良いのか迷ってしまう方も多いと思うので、我が家で育てている木立ち(ブッシュ)からおすすめの品種をご紹介します。
バラの種類について
バラの樹形は主に、木立ち性(ブッシュローズ)、半つる性(シュラブローズ)、つる性(クライミングローズ)の3つの形に分かれます。
半つる性は木立ち性とつる性の中間。枝を伸ばしてつるのように巻きつけて扱うこともできるし、短く剪定して木立性のバラとして扱うこともできます。
つる性は枝を長く伸ばし、壁面やフェンス、トレリスなどに巻き付けて花を咲かせるもののこと。
木立ち性(ブッシュローズ)の魅力
アーチや壁面などに誘引して咲かすことができない場合でも、木立ち性のバラなら這わせる必要がなく自立してくれるため育てることができます。
花壇などに植えても良いですし、場所がない場合やベランダガーデンなどでは鉢植えで育てることも可能ですよ。
木立ち性には四季咲きや繰り返し咲きのものが多くあり、一定の気温があればいつでも開花することができます。
ですが日本の夏や冬はバラにとって開花するための気温にはならないので、主に春と秋に多くの花を付けますよ。
一言で木立ちと言っても直立性、横張り性などがあり品種によって形も変わり、花色や大きさ、香りもそれぞれです。
非常にたくさんの種類があるため、自分の好みに合ったバラを探すことができるはず!
それでは、10種類の木立ち性おすすめの品種をご紹介します。
【1】ボレロ
フワッとした花弁が幾重にも重なるロゼット咲きが特徴のボレロ。クラシカルな形がとても可愛く繊細です。フランス、メイアン社が作出した名花。
純白の花弁の中心が淡いピンク色となり、咲き進むにつれ濃いピンクや黄色に微妙に色が変化していきます。
咲き始めから終わりまで花形が崩れることなく、どんな状態でも楽しめるバラがボレロなのです。
特にこのバラは香りが良く、フルーティーな良い香りがするのが大きな特徴です。その香りは超強香と言われるほどで、近くを通るとふんわりとフルーツのような香りが漂ってきますよ。
もちろん名花と言われるだけあり、病気に強く育てやすい品種。ほったらかしはいけませんがあまり手をかけることなく、丈夫に育ってくれるバラなのでおすすめ!
【2】アイスバーグ
1983年の世界バラ会議で殿堂入りしている名花中の名花です。
フロリバンダローズ(1本の枝からたくさんの花を咲かせる花束のような種類)を代表する品種の1つと言っても良いのではないでしょうか。
派手ではないものの純白で清楚な見た目が美しく、上品な花形は長い間崩れることもなく楽しめます。
四季咲きのため秋頃までよく花を咲かせ、一斉に咲いた姿はまるで雪が降り積もっているかのように圧巻ですよ。アイスバーグが「氷山」と言う意味なのも頷けますね。
また、とても樹勢が良くたくましさがある品種なので、病気にもかかりにくく初心者の方でも育てやすいのが特徴。枝がしなやかでトゲが少ないのもおすすめしたい理由です。
アイスバーグは突然変異でできたつる性のものもありますが、あまりにも美しいので我が家では木立ちとつるの両方育てていますよ。
【3】エンジェルフェイス
「天使の顔」と言う名前の通り、まるで天使が笑いかけているかのように可愛らしい品種のバラです。名前がいいですね。
花弁はピンクっぽい紫色、1枚1枚がウェーブがかっていてフリフリのレースのように豪華!色と相まってとても優雅な印象を受けます。
病気や寒さへの耐性はあまり強いとは言えません。しかし私はバラを始めたばかりの最初の頃にこのバラを新苗で買っていますが、バラ初心者だった私が育てていても長年経った今でも元気で、スクスクと育っていますよ。
今では花付きもとても良いです。黒点病には時々かかるけれど枯らすことなく育てられていますよ。
香りも良いので、花だけでなく香りも楽しみたい方におすすめ。バラは香りも魅力の1つですからね!
【4】夜来香(イエライシャン)
岐阜県大野町のバラ育成家である青木宏達さんによって作られ、2013年に「第6回 国際香りのばら新品種コンクール」で金賞を受賞している品種。
国土交通大臣賞、新潟県知事賞も獲得し、3冠を達成したお墨付きのバラなのです。
さすが金賞を受賞しているだけあり、その香りは格別なものがあります。
ダマスク(バラらしい香り)とティー(紅茶のような香り)を混ぜた上品でシャープな紫系独特の香りの中に、ベルガモットとフルーティーな香りをミックスしたような香りがします。香りなしにイエライシャンは語れません。
また、一般的に弱くて育てにくいと言われるのが紫系のバラなのですが、このバラはシュートがよく出てたくさんの花を咲かせます。
耐病性にも優れて丈夫なため、初めての方でも育てやすいと思いますよ。
【5】マチルダ
白地に淡いピンクの覆輪(縁取り)が入る花弁は咲き進むとだんだんと白に近くなり、色の変化を楽しめる品種です。絶妙な花色がとても美しい!
花弁がウェーブがかっており、まるでヒラヒラと舞う妖精のようですね。
フロリバンダローズなので1枝に5輪ほどの房咲きになるため、花付きが良く株を覆うようにたくさんの花を咲かせますよ。
花は多いですがまとまりがある樹形なので、狭い場所や鉢植えでも育てやすい品種です。
我が家でも狭い花壇に植えていますが、毎年とても花付き良く華やかに咲いてくれるので楽しみにしています。
数々のコンクールでも賞を獲得しており、大変人気の高いバラとも言えるでしょう。
【6】ニコル(二コール)
白い花弁にはっきりとしたピンクの覆輪(縁取り)が入る色合いが特徴のニコル。咲き始めは淡く、咲き進むとピンク色が広がっていきます。
花は中輪で色も鮮やかなため、他のバラと一緒に植えても一際目立つ存在になります。存在感抜群のバラですよ。
私はニコルとよく似ているストロベリーアイスも育てているのですけど、実はニコルの親に当たります。だから色彩がよく似ているのですね。
耐病性があり強健で樹勢も強いため、とても育てやすい品種です。地植えでも鉢植えでも育てることができますよ。
【7】シュシュ
クシュクシュとした丸弁の花弁がとても可愛く見ているだけで癒されるシュシュ。日本のバラで、岐阜県の河本バラ園の河本純子さんによって作られた品種です。
名前は女性が髪を束ねるシュシュに由来するようで、その名の通り女性らしい柔らかい印象があります。アプリコットっぽいオフホワイトの色彩もまた控えめで美しいですね。
樹高が1mほどとコンパクトなバラなので、鉢植えでのベランダガーデンなどにもおすすめの品種ですよ。花持ちも良いので切り花として部屋に飾っても可愛らしいことでしょう。
【8】センチメンタル
絞り(絞り染めのように色がまだらに入りまじっているもの)が入っているバラは人によって好き嫌いがはっきりと別れるような気がします。
実際に我が家のセンチメンタルを見て「このバラちょっと強過ぎる…」「ちょっとくどいね…」と言った方が何人かいるのですけど、私はこのバラを綺麗だと思いますしとても気に入っています。
センチメンタルは白地に赤の模様が入った紅白絞りのアメリカの品種。とても鮮やかなのでパッと目を引きますね。
控えめと言うよりは派手な分類なので、庭の中でもより目立つ存在になることでしょう。
花持ちが良く絞り咲き系の部類では耐病性もあるため、育てやすいと思います。コンパクトでまとまりもあります。
鮮やかな絞りが好きな方はセンチメンタルから始めてみても良いかもしれませんね。
【9】グレーフィンディアナ
ワインレッドで魅惑的な色合いのシックなハイブリットローズ(大輪1輪咲き)。半剣弁咲で咲き進むにつれて徐々に色が明るく変化していきます。
こういった形の大輪の花はとてもインパクトがあり、雨にも強く花持ちが良いのものが多いですね。四季咲きなので秋まで楽しむことができます。
2013年にはジュネーブ国際コンクールでも入賞している品種で、うどん粉病や黒星病に強いと言われています。香りも良く、見た目と共に誘惑されそうですね。
私はピンクや白などの薄い色合いのバラが好きでそういったバラをついつい買ってしまうのですが、このバラははっきりとした色彩なので、淡いバラたちの中で引き締め役になっていますよ。
【10】クイーン・エリザベス
世界バラ会議にて1979年に殿堂入りを果たしたクイーン・エリザベス。その中でも強健品種として知られており、とても有名なバラの1つ。
名前の通り、イギリスのエリザベス女王の戴冠を記念して作られた品種です。
花弁はピンク一色。大輪ですがこれぞバラ!と言うようなオーソドックスな色と形を持ったバラです。
たおやかで女性らしい雰囲気で気品があり、26歳で女王に即位したばかりの初々しいエリザベス女王へ向けて贈られたことがよく分かりますね。
そして何よりクイーン・エリザベスの最大の特徴は、先ほども書いたように強健だと言うこと。耐病性が強いのでとにかく病気に強く、樹勢も良いのでよく育ちます。病気で葉を落とそうと、すぐに回復してくれます。
暑さ、寒さにも比較的強く、多少条件が悪い土地でも生きていくことができる素晴らしさ。
見た目も華やかで強い品種なので、ぜひ初心者の方におすすめしたいバラです。
バラは枯れてしまうことも多いので、まずはこういった強い品種から挑戦すると良いかもしれません。
まとめ
少しでも皆さんのバラ選びの参考になればと思いますし、樹勢が良く病気に強いことも大事だと思いますが、好きな色、好きな形のバラを育てるのも大事だと思います。自分好みのバラだと咲いた時の喜びも人一倍感じられますからね。大切なのは、愛情込めて手入れをし、しっかりと育てていくことだと思いますよ!