世界中の人々を魅了し続けるバラの花。優雅な佇まいや豊かな色彩に加え、芳醇な香りもその理由でしょう。今回は数多のバラの中から、特に香りが良い強香と言われるバラの種類を集めてみました。私が個人的に好きな香りのバラです。
香りの種類
香水にも欠かせないバラの香りですが、一言でバラの香りと言っても様々。主に以下の7つの香りに分類されます。
・ダマスク・モダン ダマスク・クラシックから派生した香りで、ダマスク・クラシックよりも甘さとフレッシュさがあり洗練されています。
・ティー 中国のロサ・ギガンティアから受け継がれた、オールドローズの香りを受け継いだもの。ティーとは紅茶のことで、上品な紅茶のような香りがします。スッキリとしてモダン・ローズに多い香り。
・フルーティー ダマスク・クラシックにティーをミックスした香り。モモやリンゴ、アプリコットのような、爽やかなフルーツのような香りがします。
・ミルラ ミルラとは香料などに使われる没薬(もつやく)のこと。独特の香りで、甘さと苦さを併せ持ったような香り。イングリッシュ・ローズに代表する香りですね。
・ブルー 青系と紫系のバラ特有の香りなのでブルーと呼ばれます。ほとんどの青バラがこの香りを持っています。ダマスク・モダンとティーを合わせたような香りで、シャープで心地良さがありますよ。
・スパイシー ダマスク・クラシックを基調に、コショウやクローブなどのスパイスの香りが混ざったような香り。刺激のある香りです。
この分類を元に、おすすめの香り豊かなバラたちをご紹介したいと思います。
夜来香(イエライシャン)
2012年の「第6回 国際香りのばら新品種コンクール」にて金賞を受賞、国土交通大臣賞、新潟県知事賞も獲得しており、3冠を達成したお墨付きのバラです。
ダマスクとティーを混ぜたようなブルー特有の香りの中に、ベルガモットの香りとフルーティーが入った心地よい香りがします。
すっきりとした爽やかさの中に甘さもあり、洗練された香りで楽しませてくれますよ。
近くを通るだけでふわっと香り、これほど香りに癒されたバラはありません。当ブログ管理人の私がイチオシのバラ。
ガブリエル
河本バラ園のバラはどれも女性らしく繊細で、香りが良いものが多いのも特徴ですね。
ヘブンシリーズのガブリエルもその一つで、エレガントな容姿にふさわしく、上品で強く香ります。
香りはまさにブルー系のバラと言ったところで、爽やかな香りの中に、ダマスクやティーを含んでスッキリとした香り。見た目も香りも大天使の名にふさわしいバラ。
ガブリエルは白に近いシルバー色をしており、中心には淡い紫色が入ります。波打つ花弁と相まってとても幻想的で、他ではあまりない見た目にも癒されますよ。
ミスティーパープル
こちらも同じく河本バラ園のバラ。2004年日本フラワー&ガーデンショウジャパンセレクション切花部門で第一位を獲得している人気の高いバラです。
細く繊細な枝先に、優しく淡い紫色の波打つ花を咲かせ、優美な見た目はまさに河本バラ園のバラと言ったところ。
爽やかなブルー系の香りの中にフルーティーやティーの甘い香りもあり、強い芳香を楽しめる品種でもありますよ。
ラマリエ
河本バラ園作出が続きます。「花嫁」の意味を持つラマリエは、その名にふさわしい柔らかいピンク色の可愛いバラです。
フリルがかった花弁は幾重にもかさなり、まるでウェディングドレスのよう。
このバラはブルー系の香りが強く、フレッシュで爽やかな芳香を持っています。
玄関に置くと、その美しい見た目と強い香りで、お客様を心地よく出迎えることができるのではないでしょうか。
アンブリッジローズ
アンブリッジローズは、デビッド・オースチンのイングリッシュローズです。
アプリコットピンクが可愛らしい品種で、咲き始めはカップ咲き、咲き進むとロゼット咲きへと変化していきますよ。
デビッド・オースチンはオールドローズの特徴を残しつつモダンローズを作ったため、イングリッシュローズは香り高いものが多いことでも知られています。
特に「ミルラ香」と呼ばれる香りはイングリッシュローズ特有です。
このアンブリッジローズもその特徴を受け継いでおり、強いミルラ香があります。青系のバラとはまた違った香りですね。
クロード・モネ
フランス、デルバール社のバラ。ペインターシリーズはどれも印象派の画家たちの名前が付けられており、絞り模様が美しいシリーズです。
クロード・モネもその一つで、淡いピンクの中にオレンジイエローの絞りが入る品種でお洒落な印象。
デルバール社は特に香りへのこだわりが強く、「バラの香りのピラミッド」を作成して変化するバラの香りを表しています。
クロード・モネのピラミッドはアニス・ローズ・リーフ・フランボワーズとなっており、ティーの香りの中に甘さと軽さがある上品な香りです。
2013年の「第7回 国際香りのばら新品種コンクール」では銅賞を受賞していますよ。
オデュッセイア
ロサ・オリエンティスのオデュッセイアは、波打つ赤紫の個性的な花弁を持っており、クールで大人っぽくかっこいいバラです。
深みがある独特な色彩は、一度見たら忘れられないほど印象深いのではないでしょうか。
オデュッセイアと言う名前は、ギリシャ神話「オデュッセウスの冒険」に由来しているそうです。
2015年の「第8回 国際香りのばら新品種コンクール」では銅賞を受賞。ダマスクの中にフルーティーの甘さも感じられる強い芳香があります。
ボレロ
花弁がふんわりと幾重にもかさなった豪華な花形はまるでオールドローズのようで、白いバラの定番とも言える品種。
フランス、メイアン社が作出した名花です。とても人気が高いフロリバンダ系のバラですね。
ボレロは香りが強いことでも知られており、フルーティーでトロピカルフルーツのような良い香りが強く、超強香と言われることもあるほど。近くを通るとふんわりとフルーツのような香りが漂ってきます。
見た目に加えこの強い香りがあるからこそ、長年人気があるのでしょう。
ブルームーン
1964年にドイツで作出されて以降、今でも根強い人気を持つハイブリッド・ティー系統のバラ、ブルームーン。紫バラの代名詞とも言われ、紫バラを代表する名花です。
青系のバラは弱いと言われがちですが、ブルームーンは耐病性があり樹勢が強いので、初心者でも育てやすいと言われています。大輪で整った花形も魅力的。
青系のバラは所謂ブルー香が強く、ブルームーンも柑橘っぽい爽やかな香りがあります。爽やかでスッキリとしていますよ。
ブルーフォーユー
美しい青紫色の花は唯一無二の存在感があります。ひと枝からブーケのようにたくさんの花を咲かせ、満開時には大変見応えのある豪華な光景になりますよ。
私が育てているバラの中でも特に花付きが良く、青系でも物ともせず生育旺盛です。
香りはブルームーンなどと同じくブルー香が強く、その中に独特なスパイシーな香りも混じります。
時に中香と表現されることもありますが、我が家ではかなりの強香だと思っています。ブルー系バラはどれも心地よい香りですね。
エンジェルフェイス
波打つような八重咲きの花弁がとても優雅な印象のバラ。パッと目を引くラベンダーピンク色が特徴的です。名前の通り、天使を連想させるような可愛らしい花姿ですね。
紫系のバラなので、耐病性や耐寒性がそれほど強くないため育てるのにやや注意が必要ですが、それを差し引いても育てたくなる美しいバラです。
ダマスクとティーを合わせたようなブルーの香りにフルーティーな香りが混じって、スッキリさと甘さがあります。
ステンレススチール
白とも紫ともグレーとも言えない絶妙な色合いが特徴的なハイブリッドティーローズ。他ではあまりない色合いです。
すごく硬そうな名前ですが(一度聞いたら二度と忘れなさそうな名前ですね)、名前の通りとてもクールな印象を受けるバラ。枝はあまり増えませんが、丈夫で育てやすい強健種ですよ。
青系のバラなのでブルー特有の強い香り、所謂ブルー香がします。とても良い香りです。
アストリットグレーフィンフォンハルデンベルク
名前は長ったらしくてなかなか覚えられませんけど、その美しさは別格です。
蕾は黒に近く、花が開くと外側が深い紫色、内側が濃いピンク色のような色をしており、このちょっとユニークな花色が特徴的。
花弁が多いロゼット咲きで、ベルベット素材のような見た目もインパクトがあります。
「2002年ローマ国際コンクール芳香種部門」で金賞を受賞しているほど香りが良く、紅茶のようなティーの中に、ダマスクやフルーツの甘い香りが混じり、なんとも芳醇な香りですよ。
ザ・マッカートニー・ローズ
元ビートルズのポール・マッカートニー氏の名前から名付けられたフランスの大輪バラ。様々なバラの国際コンクールでも受賞しており、名花として知られている品種ですね。
枝が硬く太くとても丈夫な印象を受けます。
花が大輪なのでピンク色のはっきりとした色が際立ち鮮やかでとても美しいです。その美しさにマッチした、ダマスクにフルーツ香を混ぜたような芳香があります。
スヴニール・ドゥ・ラ・マルメゾン
ここからはオールドローズです。オールドローズは1867年以前に作られたバラで、香りが強いものが多いと言われています。
スヴニール・ドゥ・ラ・マルメゾンは、ナポレオンの妃であるジョセフィーヌが住んでいたお城から命名された有名なバラで、柔らかいピンク色とクォーターロゼット咲きの優雅な品種。
香りはダマスク香の甘い香りの中にスパイシーさも感じられるスッとする芳香があります。心地の良い香りを持っていますよ。
マダムルナイー
同じくオールドローズのマダムルナイー。花弁が多くてコロンとしたカップ咲きで、まさにオールドローズと言った花姿をしています。花が重たげに下を向くところも素敵です。
少し紫がかったピンク色の花で、オールドローズらしいダマスクの強い香りと、フルーツのような甘い香りを持った強香品種。
オールドローズは優雅な見た目はもちろん、甘美な芳香にも癒されますね。
シドニー
花弁が多いクォーターロゼット咲きの、淡いピンクが可愛いらしいフランスのオールドローズ。
花弁が重なりたっぷりとあるため、時々形が崩れてしまうこともありますが、そんな姿もまたチャーミング。
シドニーはポートランドローズ(18世紀頃にフランスで人気だったバラ)なので、所謂オールドローズらしい見た目を持っています。
美しい見た目と共に高い香りも持っており、オールドローズ香であるダマスクが強く、少しフルーツのような香りも漂いますよ。
まとめ
最初は美しい見た目だけで選んでいたバラも、だんだん香りが良いバラに惹かれるようになりました。せっかく育てるのであれば、どうせなら香りが良い方がいいですもんね。
強香のバラを育てると、庭を歩くだけで豊かな香りが漂ってくるのでとても癒されます。香りなくしてバラは語れませんね。きっと香りがあったからこそ、何百年もの間、人々に愛される花になったのでしょう。
今回ご紹介したのは芳香のあるバラの中のごく一部ですが、ぜひ参考になればと思います。お気に入りの香りのバラを、ぜひ探してみてください!