大事に育てているバラが、害虫被害などに遭ってやられてしまうことがよくあります。そんな時の保険として、私はよく挿し木でバラを増やしておくのですが、今回はそれよりもちょっと難しいけど丈夫に育つ、接ぎ木に挑戦してみました。
長年接ぎ木をやっていらっしゃる、近所のバラ農家さん直伝の方法です。
挿し木と接ぎ木の違い
ガーデニング、家庭菜園をやっている方なら挿し木、接ぎ木と言う言葉は一度は耳にしたことがあるでしょう。どちらも株を増やす方法ですが、違いは何でしょうか。
挿し木
株の一部分(茎や幹など)を切り取り、それを土に挿して発根させて育てる方法のこと。
カットした茎や切り花などを使って誰でも簡単にできるので、お手軽でお金もかかりません。
ただし、うまく発芽せず枯れてしまうことも多く、成長するまでに3年以上はかかると言うデメリットがあります。
接ぎ木
台木と言う他の株の上に接ぎたい茎を接着して、1本の植物として育てる方法のこと。
バラの接ぎ木は、日本ではノイバラに接いで作られることが多いですね。
成長が速く丈夫な株になるためおすすめですが、接ぎ木は技術がいるため、簡単にはできませんし手間もかかります。
接ぎ木をする時期
バラを接ぎ木する時期は、1~2月の寒い冬の時期。バラが休眠期に入り活動しなくなる時期です。
準備するもの
穂木(バラの枝)
増やしたいバラの枝を切って使います。
台木
台木にはノイバラの苗を使います。私は近所のバラ農家さんから購入しました。
接ぎ木テープ
接ぎ木用の伸縮性のある透明のテープを使います。
土
作った接ぎ木を植えるための土。小粒の赤玉土などを使います。
植木鉢
作った接ぎ木を植えるための器。スリット鉢などを使います。
カッター(ナイフ)
清潔で、切れ味の良いカッターやナイフを使います。
1. 穂木を作る
それでは早速接ぎ木をします。
まずは、今回使うピエールドロンサールの穂木を用意します。長さを5~6cmぐらいに斜めにカット。
トゲが多いものは、あらかじめとっておくと良いでしょう。
2. 先端を削ぎ落とす
先ほど斜めに切った先端の切り口を、1.5cm程度カッターで切り落とします。
3. 台木を準備
こちらが台木です。ノイバラですね。ここから、台木に穂木を固定するための準備をしましょう。
4. 台木を少し削ぐ
台木の先端をほんの少しだけナイフで削ぎ落します。
これは、台木にナイフを少しでも入れやすくするためだそうですよ。
5. ノイバラに切れ込みを入れる
ノイバラの切り口からナイフを入れ、2cmほどの切れ込みを入れます。
斜めにナイフが入っていると途中で幹が切れてしまうので、最初は難しいですけど、真っ直ぐに切れ込みが入るよう注意が必要です。ケガにもお気をつけください。
この時、ノイバラと穂木の形成層を合わせなくてはならないので、切れ込みを入れるのは幹の端から2mmほどの場所になります。
6. 穂木を台木に挟む
先ほど斜めにカットした穂木を台木の切れ込みに挟み込みます。
形成層どうしを合わせなければならないので、穂木の削いだ部分を台木の内側に向け、切れ込みを入れた部分にぐっと入れ込みます。
しっかりと挟み込んでください。
7. テープをまく
台木に穂木を入れて接ぎ合わせた部分を、接ぎ木用のテープを使い、5回ほどまいてしっかりと結びます。穂木が抜けてしまわないよう、テープはきつく巻いてくださいね。
最初は接ぎ合わせた部分だけをテープで巻いていましたが、あとでバラ農家さんに見て頂いたところ、今回ロウ付けまではしないので、このままでは乾燥してしまうとのこと。
プロの方は、乾燥防止のため、穂木をサッと溶けたロウにくぐらせるのですが、個人でやるにはなかなかそこまではできないので、そういった場合は穂木全体をテープで巻いておいた方が良いと言うことで、後でまき直しました。
穂木が乾燥しないよう、穂木全体をテープでまきます。新しい芽は、テープを突き破って出てくるので大丈夫です。
8. 土に植える
接ぎ木はこれで完成となるので、スリット鉢などに植えてあげましょう。
もしも穂木の部分が黒くなってだんだんと枯れてしまったら、残念ながら失敗です…。
接ぎ木の管理方法
鉢に植えた接ぎ木は、最初は温室や室内などの温かい場所で管理しなければなりません。
我が家は、室内で発泡スチロールの中に入れ、その上からビニール袋を被せていました。穂木が乾燥しないように注意です。
土が湿っているうちは水は与えず、一週間に一度ぐらい水やりをしましたよ。
2~3週間ほどして新しい芽が出てきたり温かい季節になってきたら、日が当たるように調整してください。
接ぎ木から育てるバラ
プロの方の接ぎ木を見せて頂くと、目にも止まらぬ速さで次々と作っていくので驚かされました。
初めての場合はそんな風に速くもうまくもできませんけど、慎重にゆっくりとやればちゃんと接ぎ合わせることができます。
最初から大きなバラを買うのはラクですが、一から育てるのも楽しいものです。
接ぎ木をしたピエールドロンサールの成長を見守っていきたいと思います。
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