1月はバラの冬剪定の季節。チェリーガーデンにある80本ほどのバラの剪定・誘引を、正月明け早々に終わらせました。本稿では、剪定や誘引の仕方を、初めての方にも分かりやすく解説していきます。
剪定時期
秋に花が終わった後、枝が伸び伸びになり、毎年こんな感じになっています。
モサモサになったバラたちを一旦リセットし、いらない枝や葉を切り落として、樹の形を整えてあげなければなりません。
要らない枝を間引くことで茂り過ぎるのを防ぐ効果もありますし、短くすることで養分を全体に行き渡らせることができるので、成長を促して綺麗な花を咲かせやすくなりますよ。
そんな剪定作業は、バラが休眠期に入る1月頃に行います。
剪定する長さ
上記写真は木立タイプのバラたちの春の様子。
剪定後はこんな感じで、樹高の約1/3程度までバッサリ切ります。
ただし、ガブリエルやジュリアなど性質が弱い品種は、2/3程度ともう少し浅めに切った方が良いと思います。強剪定し過ぎて、枯らしてしまったことが何度かあります…。
剪定する位置
では、樹高1/3程度のどこで切るかと言うと、良い芽の上です。
バラには、外側にある外芽と内側にある内芽があるので、そのどちらかの芽の上1cmほどの場所でカット。
内芽を残すとコンパクトに、外芽を残すと横に広がる樹形になりますよ。
ただし、内側に枝が密集すると枝が込み合うため、過密になってしまうことも…。日光も届きにくいですし、外芽で切った方が生育は良くなります。
ベランダなどで小さく育てたい、と言う場合以外には、基本的には外芽で切ると良いのではないでしょうか。
不要な枝を剪定
全体的に短くすることも大切ですが、いらない枝の剪定も大事な作業です。
枯れてしまった枝はもちろん、細すぎる枝も必要ありません。
生育の妨げになるので、そういった枝は下から切り落としてしまいましょう。
また、枝が多すぎると風通しも悪く養分を全体に行き渡らせるのが難しくなるため、枝が多すぎる場合は、少し枝を間引いて少なくします。
バラには肥料や水やり、薬剤散布など他にもいろんなお手入れが必要ですが、こんな感じで剪定すると、形もきれいに整い、春にはたくさんの花を咲かせてくれます。
バッサリ切るのは勇気がいりますが、バラがしっかり休んでいる時期なら大丈夫!
シュラブローズ
半つる性のバラはシュラブローズと言い、木立のように育てたり、枝を伸ばしてつるバラのように育てることもできます。
木立ちのように育てるなら剪定は同じで、1/3程度まで切り戻します。
つるバラのようにしたい場合は深く剪定し過ぎず枝を伸ばすようにします。
長い枝の枝先を10~20cmほど切り、細い枝などは切り取ります。
つるバラ
つるバラも同じで、太い枝を残し、枯れた枝、古い枝、細い枝はカット。
太い枝から出ている側枝は、2芽ほど残して10cm程度に切り詰めます。
誘引する資材の長さに合わせて枝先を剪定しますが、こちらも毎年10~20cmほど切り、長く伸びすぎていれば、資材や構造物に合わせて切り戻していますよ。
枝が込み合っていれば、良い枝でも間引いてしまいます。
つるバラ誘引
つるバラは、フェンスやオベリスク、壁面、アーチなどに、長く伸びた枝を誘引しなければなりません。
植物には「頂芽優勢」と言う性質があり、一番高い場所にある花芽の生育が優先されます。
なので全ての芽が頂点になるように、太い枝をできるだけ水平に誘引する必要があります。
すると、頂芽が増え、結果的に花数を増やすことができるんですよ。
ちなみに、何年か前の誘引失敗写真。水平ではなく、上へと誘引してしまったので、やはり下の方の花数が少なかったですね。
こちらは同じバラの昨年の様子。水平を意識して誘引すると、花数がぐっと増えましたよ。
オベリスクやアーチへの誘引も同じで、枝を真上に直立させるのではなく、45~60度ぐらいに斜めに巻き付けていきます。
ただし、硬い枝や太い枝は無理に曲げると折れてしまうことがあるので、そういったものは直立気味でも大丈夫ですよ。
開花の様子
さてここからは、このように剪定・誘引したバラがどのように咲くのかをご紹介します。
ニュードーン
まずは、玄関ポーチに誘引したニュードーン。
一番遅咲きのバラですが、玄関を覆うように咲いてくれます。
昨年は特に花付きも良く、柔らかい真珠色の花がとてもきれいでした。
つるアイスバーグ
ニュードーンの隣にあるつるアイスバーグのアーチ。
20年近く経つので花数は減ってきているのですが、まだまだきれいに咲いてくれます。
アイスバーグはまるで純白の雪のように美しい白バラですね。
パレード
壁面のパレード。
壁を覆うように誘引しているので、壁面一面を染めるように満開になります。
花数も多く、ショッキングピンクなのでとても目立ちます。
フェンスのバラ
フェンスに誘引したピンク系のつるバラたち。
内側と外側両方から楽しめるように誘引しています。
ここには、フッタカーシュリンローズ、ロココ、つる桜霞、ピエールドゥロンサールなどがあります。
長いフェンスであれば、よく伸びるバラを誘引すると圧巻ですよ。
枝を内側と外側に来るよう分けると、庭の中から見ても楽しめます。
入口のアーチ
庭の入口にある、ピエールドゥロンサールとクリスティアーナのアーチ。
バッサリ剪定しても、春にはこれだけこんもりします。
アーチへの誘引も、枝を直立ではなく斜めにジグザグに誘引していくと、たくさん花を咲かせてくれます。
レンガ花壇
レンガの花壇には、しのぶれどやマチルダ、ボレロなどの木立タイプのバラがあります。
木立は1/3程度に切り戻して剪定していますが、春にはよく成長してたくさんの花を咲かせます。
特に地植えだと大きく育ちますし、花付きもいいですね。
玄関花壇
玄関花壇の右半分にはレッドレオナルドダヴィンチ、ホーム&ガーデン、ブルーフォーユーなどを植え、シュラブローズは少し長めに剪定を、左半分にはマリアテレジアやクロード・モネなどを植えています。
剪定後は何もなくなる花壇も、春にはたくさんのバラが彩る花壇に変身!
ブルーフォーユーやホーム&ガーデンは後ろのフェンスに誘引し、長めに伸ばしています。
つるバラほどじゃないですが、長めの木立として育てるのも美しいですね。
切り過ぎたかな、と思っても、強いバラであれば結構ちゃんと咲いてくれるので、ぜひ勇気を持って剪定しちゃいましょう!
鉢植えのバラ
こちらは鉢植えのバラたち。
冬に1/3程度まで切り戻せば、春にたくさんの花を楽しめることでしょう。
まとめ
寒い季節ですが、この時期に剪定をすることで、春にまたたくさんの花を咲かせてくれます。
バラは休んでいる休眠期でも、やるべきお世話はたくさんあります。
ぜひ頑張ってくださいね!