つるバラの魅力はなんと言ってもその豪華さ。アーチやオベリスクに絡め、庭を立体的に演出してくれますね。つるバラを育てるには木立ちと違い、剪定だけでなく誘引作業が必要になります。誘引とは何か、詳しく見ていきましょう。
誘引とは?
「つる」と言うと、アサガオやクレマチスのように、自分から近くにある物に勝手に絡み付く植物を連想する人も多いと思います。
しかし“つる”と名前が付いていますがつるバラは違います。枝は長く伸びるけれど、ひたすら伸びるだけで絡みつくことはありません。
そこで必要になるのが「誘引」です。誘引とは、長く伸びた枝を、アーチやオベリスクなどの構造物に紐などで固定していく作業のこと。自然にはならないので、これは人間がやらなければならないのです。
誘引する理由
前述したように、放っておくと地面を這うようにどこまでも枝が伸びてしまうので誘引が必要になります。
また、誘引することで形を整えることができ、鑑賞する時に美しい形で見ることができるため誘引しなければなりません。ばらを綺麗な状態で保つには、剪定と誘引は欠かせませんね。
誘引する時期は?
誘引作業は、バラが休眠期に入ってから行います。
休眠期とは、植物が成長を停止して休んでいる時期のことで、この時期は多少荒っぽいことをしても大丈夫。なので、剪定や植え替えなどのお手入れは全部この時期に行います。
時期としては1月~2月頃。剪定とセットで行うと効率良くできるのではないでしょうか。
この時期より後になると、成長が再開され新芽が出始めるため、バラが傷付いてしまう可能性が高くなるので注意が必要です。
誘引のポイント
枝を水平にする
どのバラの教科書を読んでも必ず書いてあるのが、水平に誘引すること。上に向かって枝を持っていくのではなく、水平に曲げて横に伸ばすようにします。
この理由は、植物には頂芽優勢と言う性質があり、茎の先端の一番高い位置に養分が集まりやすいため、上に伸ばすと一番上にしか花が咲きにくくなるからです。
水平にすることによって枝全てが頂点になり、全体的に花が咲きやすくなるのです。
一度ほどいて誘引し直す
1年前に誘引したものが残っている場合、めんどくさいのでそのまま剪定だけしてしまいたいところだけれど、時間があればできれば1度ほどいて誘引し直した方が良いと言われています。
その方がいらない枝を剪定しやすいですし、上に向かって伸びた枝を水平にしやすいからです。また、固定していた紐が古くなると切れてしまうこともあります。
誘引で必要なもの
バラはトゲがあって危ないので、しっかりと装備した上で誘引作業を行いましょう。誘引作業で必要になる道具をご紹介。
革手袋
革手袋は、バラ栽培のマストアイテム。普通の軍手や手袋では怪我をしてしまうので、トゲが刺さりにくい革手袋を必ず着用しましょう。
ワイヤー
枝をどこにも止めるところがない、壁面の誘引などに多く使われます。その他にも、枝を引っ張ったり固定したい時にも使えますよ。
ビニタイ
枝を支柱やフェンスなどに固定する時に使えます。バラだけでなく、ガーデニングでは何かと便利。
麻ひも
ビニタイと同じく、枝を資材に固定する時に使えます。ただし、時間と共に朽ちてしまうため、切れたら交換しなければなりません。
誘引するための資材
誘引するためにはバラを這わせる資材があると重宝します。ローズガーデンには欠かせない資材、誘引できる場所をご紹介。
トレリス
土に挿したり立て掛けたりする柵のことをトレリスと言います。アイアンでお洒落な物も多く、ちょこっとした誘引に便利な資材。
オベリスク
円柱状になった資材で、くるくると巻きつけて誘引できるオベリスク。小さなものから大きなものまで様々で、スペースの狭い場所なんかでも使いやすいですよ。
アーチ
アーチに誘引すれば、バラ園のような憧れの庭に近づけるかも!つるバラの仕立て方の中でも王道ですね。
パーゴラ
クレマチスやブドウなどでもよく使われるパーゴラ。高さもありますし、立体的な庭作りに使えます。
フェンス
フェンスがあるお家は多いと思うので、それを生かして直接誘引してしまうのも誘引の一つの手です。
壁面
資材ではありませんが、家の壁面を利用して誘引すると、家ごと包むように花を咲かせてくれますよ。
つるバラが豪華な庭を作る
最初は剪定や誘引の仕方にも戸惑うことが多いかもしれません。しかし、何年かやればコツを覚えてくると思います。
咲いた時の状況を見て、もっとこうすれば良かった、ああすれば良かったと思うことがあれば、それを生かして翌年の誘引に繋げていけば良いのではないでしょうか。
1年間いろんなお手入れがあるので大変だと思うことはありますが、一斉にバラが咲いた絶景を見ればその苦労も吹き飛ぶますよ。