バラの大事なお手入れの一つに、不要な枝を切り取る剪定作業があります。美しい花を咲かせるため必要な作業ですが、いつでも剪定していいわけではありません。本稿では、剪定する時期とその目的について解説します。
剪定の目的
いらない枝や葉を切り落として樹の形を整えることを剪定と言います。バラだけでなく庭木などにも必要な作業ですね。
形を整えることで見た目が美しくなるだけでなく、要らない枝を間引くことで茂り過ぎるのを防ぐ効果もあります。
風通しが悪くなると日光が当たりにくく樹勢が弱ることもあるので、剪定することで適度な枝の量にすることができますよ。
また、短くすることで養分を全体に行き渡らせることができるので、成長を促して綺麗な花を咲かせやすくなります。
剪定しないとどうなるのか
では、剪定せずにそのまま伸ばし続けているとどうなるのでしょうか。
――結論から言いますと、全く花が咲かないと言うことはありません。芽があれば花を咲かすことは可能です。
しかし、剪定していないと枝が多くなり過ぎているため、養分を全体に行き渡らせるのが難しくなります。
そうすると全体的に軟弱な枝が増え、花を咲かせる力がなく、一部しか花を咲かせてくれなくなってしまいます。つまり、剪定したものより花数が少なくなってしまうことが多いのです。
また、一切剪定を行わないでいると、枝がどんどん伸びて巨大化してしまうことも。無駄に場所を取ってしまいますし、手が届かないような高い位置で花が咲いてしまい、手入れが大変となってしまいます。
剪定時期は夏と冬
植物によって剪定する時期は違いますが、バラの場合は主に夏と冬。と言っても同じやり方ではなく、夏には夏の、冬には冬の剪定方法があります。
夏の剪定
夏に行う剪定は、9月上旬頃の夏の終わりに行うのが一般的。秋に美しく花を咲かせるために行う剪定です。
切る場所は外芽の上。新芽があるので切り落とさないように注意することと、葉も落とさずそのまま残さなければなりません。あくまでも夏剪定は樹形を整える程度で、軽めに行う弱剪定が鉄則。
冬の剪定
冬に行う剪定は、1月~2月頃の休眠期に行います。これは、次の春に一斉に花を咲かせるために行う剪定です。
冬の剪定はバラが休んでいる休眠期に行いますので、おもいきって枝を切ってしまっても大丈夫。
葉が残っていれば全て取り除き、株全体が剪定前の半分~1/3程度の高さになる強剪定を行います。切るのは夏剪定と同じく外芽の上。
細い枝、弱っている枝なども全て切り落とし、それと同時に込み合っている枝や内側に向いている枝も不要なので根元からカットし、形を整えていきます。
剪定が終わったら寒肥を!
寒肥(かんごえ)とは、毎年冬に与える肥料のことを言います。剪定が終わったら与えておくと良いかと思います。
この時与えるのは緩効性の有機肥料がおすすめで、ゆっくり効いてくるため、休眠期が終わった頃にちょうど効果が出てくるからです。
即効性の肥料を与えすぎたり直接根に触れたりすると、肥料焼けの原因になってしまうこともあるので、与える量や与え方をしっかり守って寒肥を与えましょう。
剪定で必要なもの
バラはトゲがあって危ないので、しっかりと装備した上で剪定作業を行いましょう。剪定作業で必要になる道具をご紹介。
革手袋
革手袋は、バラ栽培のマストアイテム。普通の軍手や手袋では怪我をしてしまうので、トゲが刺さりにくい革手袋を必ず着用しましょう。
剪定ばさみ
剪定で必ず必要となる剪定ばさみ。切れ味の悪いものを使うと枝にダメージが残るため、鋭く切れる切れ味の良いものをおすすめします。
ノコギリ
剪定をする際、基本的には剪定ばさみで切っていきますが、何年も経っているようなバラだと、はさみでは切れないような太い枝も出てきます。古くなったり病気になった太い枝はノコギリで対応します。
冬のお手入れが美しい花を咲かせる
冬には剪定や誘引、植え替えなどの重労働があり、寒い季節と言うこともありなかなか大変な作業ですが、冬のお手入れが一年間の生育を左右すると言っても過言ではありません。
春に多くの花を一斉に咲かせるためにも、ぜひ冬の管理を頑張ってみてください。春に花が咲いたのを見れば、きっとその苦労も報われるはず!