つるのようにトレリスやフェンスに這わせて楽しむこともでき、木立ちのように直立型のバラとして飾ることもできる半つる性(シュラブ)のバラ。花色、花形も豊富で香りも様々。魅力が詰まった半つる性バラの中から、おすすめの品種をまとめました。
バラの種類について
バラの樹形は主に、木立ち性(ブッシュローズ)、半つる性(シュラブローズ)、つる性(クライミングローズ)の3つの形に分かれます。
半つる性は木立ち性とつる性の中間。枝を伸ばしてつるのように巻きつけて扱うこともできるし、短く剪定して木立性のバラとして扱うこともできます。
つる性は枝を長く伸ばし、壁面やフェンス、トレリスなどに巻き付けて花を咲かせるもののこと。
半つる性(シュラブローズ)の魅力
一言でシュラブローズと言っても様々で、枝が太く固い木立ち(ブッシュ)寄りのもの、枝がよく伸びしなやかなつる(クライミング)寄りのものなど、品種ごとに性質が違います。
当然太く固い枝のものは誘引するのが難しくなるので、短く切り詰めて木立ちとして扱ったり、よく伸びる枝のものは小さめのつるバラとして扱ったりします。
と言っても全てのシュラブローズがつるとして枝を伸ばす性質をちゃんと持っているため、木立ちとつるのどちらとも対応することができます。非常に使い勝手の良い樹形と言えるでしょう。
花壇に地植えして木立ちとして見せることもフェンスに誘引することもできます。利用範囲が広いことがシュラブローズの魅力の一つなので、迷った時はシュラブを購入すると良いかもしれません。
また、オールドローズ(1867年以前のバラ)のほとんどがシュラブローズで、イングリッシュローズもこの系統に当てはまります。香りが良いものが多い系統でもありますね。
以下、私が育てているシュラブローズの中から、おすすめの品種をご紹介します。
【1】マリア・テレジア
フワフワとしたロゼット咲きと柔らかいアンティークな色合いが優雅なマリア・テレジア。
中心部に向かって花弁がウェーブがかっており、上品で上エレガントな印象を受けます。とても可愛い花容だったのため、花屋さんで一目惚れして買ったバラです。
名前の由来は、ローマ皇帝フランツ1世の皇后であり女帝としても知られる「マリア・テレジア」から。
さすが貴族の名前が付けられているだけあり、豪華さを感じることができます。私もこんなバラが似合う華麗な女性になりたいですね。
このバラの特徴は、香りはほとんどありませんが病気や害虫に強い強健種だと言うこと。強いバラはやはり育てやすいです。
我が家は切り詰めて木立ちとして育てているけれど、つるバラとしても使えますよ。
【2】レッド レオナルド ダ ビンチ
フランス、メイアン社のバラ、レッドレオナルドダビンチ。
ピンクのつるバラ「レオナルドダビンチ」と似てはいるけれど、枝分かれではなく交配関係もないようです。同じ名前でも違う品種と言うことですね。
やはり赤いバラはこれぞバラと言った雰囲気があり、美しいとしか言いようがありません。ピンクや白のバラは柔らかく可愛らしいイメージがありますが、赤バラはシックで大人っぽく情熱的。
花弁はカップ咲きでクラシカルな形。見た目が美しいのはもちろんですが、2005年にはドイツのADR(バラの新品種認証システム)を受賞しており、育てやすいバラとしても人気があります。
それほど手間をかけずとも、よく枝を伸ばしてたくさんの花を咲かせてくれるでしょう。
【3】ブルーフォーユー
紫系のバラの中で、特に私が大好きなバラです。フロリバンダ系なのでひと枝からいくつもの花が房になって咲き、大変豪華な品種。満開時には見応えたっぷりになりますよ。
咲き始めはややピンク寄りですが、咲き進むにつれ濃い紫へと変化します。気温によっても紫が微妙に変わり、寒冷地の方が紫が濃くなるとも言われているそうです。
青や紫のバラは病気に弱く育てるのが難しいと言われる場合が多いですけど、このブルーフォーユーはそんな紫系の中でも耐病性に優れ、とても育てやすい品種ですよ!
よく花を付けてくれるので育て甲斐があります。
このクールな色合いは庭の中でも唯一無二の存在で、とても気に入っており我が家のチェリーガーデンでは現在2本育てています。紫バラが好きな方におすすめ!
【4】オデュッセイア
波打つ赤紫の個性的な花弁を持つ、大人なかっこいいバラ、オデュッセイア。ギリシャ神話「オデュッセウスの冒険」から名付けられたバラです。
深みがあり、独特な色彩は一度見たら忘れることがなく、誰もが虜になってしまうのではないでしょうか。
気温や季節によってもその色が微妙に変化して、年間を通して違った表情を見せてくれる品種でもあります。
うどんこ病や黒点病への耐性もあり比較的強いので、初心者でも育てやすいですよ。樹勢が強いので、アーチや壁面などへ誘引して使うのにも向いていると思います。
そしてこのバラは香りが良いことも人気の理由で、国際香りのばら新品種コンクールでも受賞しています。ダマスクの良い香りが強いので、香りにも癒されながら育てることができるでしょう!
【5】ホーム&ガーデン
何度聞いても雑誌の名前に思えてしまうホーム&ガーデン。名前はバラっぽくないネーミングですが、花は薄いピンク色で、オールドローズのような姿の可愛い品種です。
特に咲き始めが可愛く、クシュクシュしたロゼット咲きの花弁が開いてくる姿はとても可憐ですよ。
このバラの特徴は、とにかくよく花を付け、四季咲き性に優れているのでどんどん花を付けると言うこと。
気候が合えば房咲きになってどんな季節でも花を付けます。ですので秋バラもたくさん楽しむことができます。
優しげな姿とは反対に、強健種でもあります。花付きも良く病気にも強いので、難しく考えることなく育てることができますね。
色も花容も個性が強いものではないので、他のバラとも合わせやすいですよ!
【6】セバスチャンクナイプ
セバスチャンクナイプはドイツのバラで、神父であり自然療法士のセバスチャンクナイプにちなんで命名されたバラです。
咲き始めは中心がアプリコットピンク(やわらかい黄桃)のような色が入り、咲き進むにつれだんだんと白っぽく変化します。
花弁が多く中輪のロゼット咲きで、オールドローズのようなクラシカルな雰囲気を持っています。まさにエレガントな花姿ですね!
2.5mほどまで伸びるので、小さめのアーチやフェンスに誘引することもできますし、切り詰めて木立ちとして利用することもできますよ。
【7】シドニー
花弁が多いクォーターロゼット咲きの、淡いピンクが可愛いらしいフランスのオールドローズ。花弁がたっぷりとあるので時々形が崩れてしまうこともありますが、そんな姿もまたチャーミングです。
シドニーはポートランドローズ(18世紀頃にフランスで人気だったバラ)なので、所謂オールドローズらしい見た目を持っています。
そしてポートランドローズの特徴である返り咲きの性質もあるため、繰り返しよく花を付けてくれますよ。花弁が豪華で宮殿に似合いそうなポートランドローズは、今でも人気がある系統です。
鉢植えでも地植えでも育てられ、強香で甘い香りも特徴。比較的大きく育つので、高めのフェンスなどに誘引することもできますよ。
【8】ソフィーズパーペチュアル
新しく花壇を作った際に、そこに置くアイアンフェンスに小さめに誘引するバラを探しており、お店の方におすすめされて購入したオールドローズです。チャイナローズの交配種だそうです。
花弁の外側は鮮やかで濃いローズピンク、内側へいくほど薄いピンク色をしており、綺麗なグラデーションが特徴的。ティーカップのように咲く花型も可愛らしいですね。
横張り型なので上へ伸びるのは苦手ですが、横へ伸びるので小さめのつるバラとして利用することができます。オールドローズはほとんどがシュラブローズです。
【9】セプタードアイル
コロンとした丸っこい形がキュートなイングリッシュローズ(デビッド・オースチン・ローゼズ社のバラ)。この形がなんとも言えない可愛さがありますね。
咲き始めは濃いピンク色でグラデーションになることが多く、咲き進むと淡く変化していきます。中心から時折黄色い雄しべを覗かせ、その姿はまるで可憐な乙女のよう。
また、イングリッシュローズに多いミルラの香りが強く、香りの良いバラに贈られる賞も受賞しています。お部屋に飾って香りを楽しんでも良いかもしれませんね。
シュラブですが枝がよく伸びるので、フェンスなどへ誘引するのにも向いていますよ。我が家でも木立ちではなくつるバラとして活用しています。
【10】カーディナルヒューム
美しい鮮やかな赤紫(ワインレッド)が人目を引く、大人っぽい印象を受けるカーディナルヒューム。
この魅惑的な色の花弁の中から、黄色い雄しべが覗く姿は最高にエキゾチック!誘惑されてしまいそうな色彩を持っていますね。
はっきりとした色合いではあるけれど、花弁がそれほど多くなくスッキリとしており花自体も大きくないので、他のバラとケンカすることなく合わせられますよ。
淡い色のバラの中に持ってくると、引き締め役になってくれるかもしれません。
我が家ではアコーディオンフェンスに這わせて、小さくつるとして扱っています。まとまりが良く枝がしなやかでトゲも少ない品種なので、誘引もしやすいですよ。
低めのフェンスなどに向いているバラだと思います。
まとめ
バラによってそれぞれ個性があり、お気に入りを決めてしまうのはもったいないぐらいです。バラは本当に魅力的なものが多いですね。
シュラブは場所によって形を変えて使うことができ、とても使い勝手の良いバラです。最近ではシュラブのものも多いので、ぜひ育ててみてはいかが?